長い長い夜を越え、紗耶香さんとの待ち合わせの時間がやって来た。 俺はいつものように 少し遅刻で到着する。 「久しぶり。」 丘の上には 白地に紫の花柄の浴衣を着た紗耶香さんが立っている。 「静岡戻ってこないかと思ってたけど?」 『東京帰るかと思ったけど?』 浴衣で髪をアップにした紗耶香さんは、いつもより数倍可愛く見えた。 「帰るわけないじゃん。」 俺は紗耶香さんの横に肩を並べ 空いてる方へと歩き出した。