結局、あなたしか。

『原愛子です…
カラオケで一緒になった』

「そうだっけ」

『覚えてないんですね』

「あの時は不必要だと思って
覚える気がなかった」

なかなか良い性格だな…
休み時間に人が寄らないのもわかる

「どこまで行くん」

『えと、亀山駅まで』

「お、一緒。」

まじですか…気まずいんですが。

そう思いながら2人して
電車に乗り込んだ。

「…」『…』

会話がない…

『あ、お昼休み何の本
読んでたんですか』

「"結局、あなたしか"っていう本」

知らない…

「恋愛モノだけど、良い本だよ」

『恋愛モノ読むんですね、意外』

「たまには読んでやらないと」

何、その理由…

真顔でそんなこと言う人いるんだ 

まじめなだけかと思ったけど
面白い人だな

なんて、なしなし

この人は冷たいんだから


幸い、駅からの帰路は
正反対の方向らしく、
何事もなく別れた。


少し決心が揺らいだ、5月。