結局、あなたしか。

ドンっ

『…痛』

入学から早1ヶ月経ち、
高校生活にもだいぶ慣れた。

「今の人危な~。
大丈夫、原?」

『うん、
そんなに強く当たったわけじゃないし』

一緒に歩く佐倉は
無事彼氏が出来たようで、
最近は鬱陶しいくらい上機嫌だ。

「たっくんがこの間指輪くれたの」

たっくんとが佐倉の彼氏で、
D組の西村拓也という人らしい。

『良かったね』

彼女は機嫌を損ねると
大変面倒くさい性格なので
素直に誉めておく。

「原も彼氏つくりなよ~」
とうるさい。

つくれたらとっくにつくっているし、
そもそも彼氏をつくるってなんだ、
彼氏はねんどか何かか。

という思いは胸の奥にしまい、
『どっかに良い人いたらいいんだけど』
と冗談めかして言った。

ちなみに今は昼休みで、
佐倉がたっくんに会いに行くのに
付き合わされている。


「たっく~~~~ん」
とハートが飛びそうな声で
彼氏を呼ぶ佐倉を後目に、
私はD組を見渡した。