「…………」 彼はあたしにバンドの楽しさを教えてくれた素敵な人なのに もし彼じゃなければきっと笑って流せたかもしれない…… この言葉をどうしても彼だけからは聞きたくなかった。 「……そういうことかよ。だったらもっと早くに叩き起こせば良かった。 アイツらの目は節穴だな」 彼はあたしの隣から立って自分のギターを入れてケースの中にしまうと 音楽室から出て行こうとした。 「……湊くん!」 音楽室のドアに手をかけた彼にあたしは大きな声で彼を呼んだ。