「やっぱ来てねぇな、湊」 と生徒の方を見ながら呟く祐くん。 「仕方ねぇよ。アイツはそういう性格だから。 けど、きっとアイツは必ずどこかで聴いてるよ。 結愛先輩、もう今日は歌えそうにないですか?」 あたしの顔を覗き込みながら言ってきた広夢くん。 あ!そうだ!あともう一曲やるって言ってたんだ! グズグズないてる暇じゃないよ。 「歌う!きっと今日があたしがボーカルする最後の日だと思うから」 それだけ言うと、涙をきゅっと制服の袖で拭いて、もう一度マイクの前に立った。