Bandrium~きみに捧ぐ恋のうた~




美紀の後について行くと、別棟の階段をひたすら上りだした。



もしかして……なんて思ったりもしたけど



絶対に違うと割り切って、自分の思ったことを聞いてみた。



「ねぇ、美紀の用事はライブに間に合うの?



もし間に合わないんだったらあたしが代わりに……」



階段を上り続けて美紀の足が止まった場所は……



昼休みに来た第2音楽室だった。



「ごめんね、結愛。ライブ1人で行くのが心細かったのもあるけど、



やっぱり後夜祭で結愛のバンドの気持ちが少しずつ解れてきた今チャンスだと思ったし



一緒にStar Tearを応援したいのもあって連れて来ちゃった!」



罪悪感を浮かべながら、でも嬉しそうな顔を浮かべる美紀。



「…………」



足が音楽室から逃げたくなって一歩下がったけど、ここまで考えて行動してくれた彼女にどうしても怒れなかった。



だって彼女はあたしのここに来たくなかった本当の理由も知らないし。



「結愛、怒ってる?」



強引に連れてくるのはどんなことでもやっぱりよくなかったよねと言いながら必死に謝ってくる美紀に



ちょうど部室から出てきた湊くんを見つけたあたしは逆に「連れてきてくれてありがとう」とそう言っていた。