忘れないうちにこれに書いとけと渡されたノートは……
四段の線が引いてある英語ノート。
ではなく、五段の線が引いてある音楽用のノート。
そのノートを受け取って、近くにバンドスコアと一緒に置いておいたシャーペンを手に取って
今のパートをササっと右手用と左手用を二段に分けて書き込んでいく。
しーんとするのが嫌だったあたしは気になったことを湊くんに聞いてみた。
「この新曲のラブバラードも本当に湊くんは歌わないの?」
あたしが聞いた瞬間、湊くんは嫌そうな顔を浮かべた。
この質問はしちゃいけなかったなと言った瞬間思った。

