周りを見てみると、湊くんはギターをスタンドに立てて、
ペットボトルの水を飲んだりしながら、発声練習をしている。
いきなり声を出したら喉を悪くするだろうし、
練習しておかないと出ない音もきっとあるからかな?と思いながら彼を見つめる。
結局、ほぼみんなを見ていただけで広夢くんから終わりの指示が出てしまった。
「じゃあ、いつも通り未来にむかってとWindをやってから新曲に入ろう。
これは結愛先輩も弾けますよね?」
「……うん!」
練習なのにすっごく全身が緊張してる。
それは自分の指を鍵盤の上に載せるのがやっとだ。
載せた手はブルブルと震えている。

