「あんず、じゃない
「様」を付けないとは何だ?」
「…すいません…」
栗城は視線を私から外し下を向いた
「あんず?」
割と早くシャワールームから出てきたお母様が寝室に入ってきた
「シャワーありがとうね
じゃ私、帰るわ
栗城はどうするの?」
「僕は…あんず様にお話がありますので…」
「そう
じゃ帰るわね
じゃあね、あんず」
私は何も応えず黙っていた
お母様は部屋から出ていった
私は空気の悪い寝室から出てソファに座った
栗城も付いてきた
「あの‥
「座れば?」
私は栗城の言葉を遮って栗城に座るように促した

