「(何故でしょう?)」


「(あんずさんの為だからです)」


「(良いでしょう)」



お父様は黒い皮張りの椅子に深く座り肘掛に手を置いた








「あんず、話とは何だ
手短に頼みたい

こっちは取引が破綻になって次の結婚相手を探さなければならないのだ」


「お父様、」



私がそう言った瞬間、扉が開く音がした


私達は後ろを振り返った
















入ってきたのはお母様だった



「あら、まだ別れて無かったの?」


「何の事だ」