10年後の約束

ふっと我に返った久美子は哲也から離れた。


でも手だけは、哲也がどうしても離してくれなかった。


「ごめんなさい。私、何考えてるんだろう。今のは忘れて・・・」


「いや、忘れないよ。嬉しかった・・・」そう哲也は言うと、


今度は真正面から、久美子を抱きしめた。


「あなたは私の友達の子供なのよ・・・・」久美子が焦りながら言った。

「そんなの関係ないじゃないか・・・・」

そう言って哲也はもっと力強く抱きしめた。


「だめよ。」そう言いながらも久美子は哲也からもう離れることはなかった。