『次のリクエストは…』
ラジオからの音が聴こえてた。いや…聴こえてたっていうより…心の中で感じてたのかもしれない。意識がなくなったのは…わかってたけど…なんで考えられるんだろう?なんで感じられるんだろう?ラジオから流れてたのは『N』の曲だった…。これを聴きながら…いいかもしれない…。
『このリクエストをくれたのは…○○市にお住まいのSさんです。病気で入院してる…恋人の為に…流して下さいと…』
その言葉に…『まさか』と思っていた。SAEが?○市は…僕の住んでいる街だし…。でも…考え事は…すぐに消えていく…。『N』の曲が…流れていくのと一緒に…。でも…それをリクエストしたのがSAEだって…確信はないけど…信じてた。
(SAEに…もう一度逢いたい…。)
『N』が…僕に勇気をくれた…。
「…郎」
「…ん…」
「太郎!」
僕は…何事もなかったみたいに…目を覚ました。
「あっ…おはよう。」
何事もなかったなんて…自分でもわかってたけど…それでも、僕は普通にしていたかった。
「…良かった…。」
亜紀の顔…『今度こそ…』って思ってたのかな…。すぐに状況がわかった。僕だって…わかっていたけど…。亜紀と父さん、母さんは…三人とも泣いていた。
