今…君のために出来る事 今…君のために生きる事

僕が怒鳴ると…一瞬だけど亜紀の手が止まった。でも、すぐに背中を向けて…作業を続けていた。
「だって…要る物だけでいいじゃん…。余計なのは入れなくても…。いつでも帰って来れるようにさ…。」
「あっ…。」
僕の目の前にある亜紀の背中は震えていた。亜紀には…亜紀なりの考えがあって…それがこの行為だった。亜紀ももう何も言わず…黙々と続けていた。
「そうだよね…ごめん。」
それしか今の僕には言えなかった。本当は僕以上に亜紀の方が覚悟を決めていたのかもしれない。そんな覚悟を決めても…亜紀は…僕が帰って来る事を信じている。
「そうだよ!わかったか!」
突然、振り返ったと思うと、近くにあったクッションを僕に投げつけて笑い出していた。今日、帰ってきてからのあの態度の理由、そして…今。これがいつもの亜紀。亜紀は…自分らしくそのままで僕を送りたかったのかもしれない。
「亜紀、ありがとな。」
「何が?」
僕たちは子供の頃からずっと二人で笑っていた…。そして今も…いつもの様に笑っていた…。

(本当にいいの?)
何だ?僕の耳にそんな声が聞こえていた。声だけで…何も見えないし、探そうにも体が動かなかった…。とうとう幻聴が聞こえる様になったのか…それとも?