「俺はあのとき、もう無理だと思った。人間に捕まって、死んじまうんだって。」
蛍が優しくあたしの頭を撫でる。
「けど、蛍が助けてくれた。俺はお前に絶対に何か恩返ししたいと思ってたんだ。」
「…。」
信じられない話だけど…真剣な表情の蛍を見てると、うそとは思えない。
「…その年に生まれるホタルのなかにたった一匹だけ、自分の姿を変えられる能力を持ったホタルが生まれると言われてるんだ。」
蛍はあたしに微笑むと続けた。
「そして、それが俺だった。お前への気持ちがあまりにも強かったのか、自分でもはじめは驚いた。」
「…蛍…。」
「でも、嬉しかった。地上に出てきてすぐに、蛍に出会えたから。」

