ーーピッピッピッピッ

静かな病室に器具のおとだけが響く。つーんと鼻をつく、消毒液の臭い。


目の前にはお父さんが寝ている。




「…ねえ、蛍、どうしよ…?」

お母さんは、いつものような強気が全く感じられない。

むしろ、弱気になってる。



「大丈夫だよ、お母さん。お父さんがあたしたちおいてくわけないでしょ?」

蛍の声が頭に響く。


“きっと、大丈夫。”

そう、きっと、大丈夫。お父さんは助かる。

そう、自分に言い聞かせる。