ガシッ! 急に誰かに手首を掴まれる。 圭だと思った私は弾かれたように顔をあげ、振り向く。 「・・・おい、あぶねーだろ。」 振り返ると、圭ではなく、有名な神崎 晴だった。 喋った事は無い。ただ姿を見たことがあるだけだった。 ゆるいパーマのかかった黒い髪の毛がとても似合っている男の子だった。 どうやら私は、信号が赤なのに渡りかけていたらしい。 「ごめんなさい・・ありがとう。」