「これは、大切にしてたやつか?」
神崎くんにそう言われて、私はこくりと頷く。
すると神崎くんは私の手をとって、手のひらにキーホルダーを置いた。
「何があったか知らねーけど、それは自分で捨てろ。」
それだけ言い残して、私に背を向け、歩き出す。
「あの!神崎くん!ありがとうございました。」
私がその背中に向かって叫ぶと、神崎くんは振り返って、
「おー。礼なんていらねぇよ。じゃーな、村岡サン。」
そう返してくれた。
私の名前知ってるんだ。
なんか、嬉しいな。
キーホルダーをぎゅっと握り締めて、家路を急いだ。

