結ばれた二人を引き離す出来事はすぐにやってきた。

四時過ぎ、建物から出てきたエヴァが打ち明けた。

一週間以上したら、彼女の父親の仕事の都合で三つほど離れた町へ移らなければならないという。

ニコラスはもちろん激しく反感の意を持った。

愛する人と愛し合える日々を手に入れたばかりなのだから当然である。


「いやだ、エヴァと離れたくない」

「ニコラス、それは私も同じなの」


けれども、どうしようもない。

ニコラスは利口な人間だから、ひどく不服ながらも納得してくれたようだ。