エヴァにぴったりと似合うドレスがないと、ニコラスはため息をつく。

いつも笑みを絶やさないエヴァが、この日だけは様子が違かった。

困ったような表情で、視線も定まらない。


「あ…」

「エヴァ?」

「ニコラス…ニコラス…助けて…」

「エヴァ!? どうしたんだ!」

「ニコラス…? ちゃんと、居る? 何も、聞こえないわ。誰か、邪魔をして…」

「エヴァ、エヴァ! しっかりしろ…つぅっ!」


突然、ニコラスの頭に鈍痛が走った。


「ニコラス、だめなの。嫌…離れないで…」

「くぅっ…! エヴァ、どうしたんだ! なに、ぁっ、がぁ!」

「ニコラス…ニコラス…」


そう彼の名前を繰り返しながらエヴァは波となって消えた。