【短】真紅のドレス

夢である。


「ねえニコラス、どうして最近はずっとこのドレスなの?」


ニコラスの顔が少し引きつる。


「…あ! 別に不満があるわけじゃないのよ! お金とか…そういうのに気づいてなかった私が悪いの」

「エヴァ、違う、違うんだ」


ニコラスが事情を説明すると、エヴァは優しい笑みを向けた。


「俺の勝手な自己満足なんだ」

「…ううん、そんなに思ってくれてるなんて、嬉しいわ。いいのよ、ニコラスが見つけるまで私待ってるわ」


そう言って笑ったエヴァの笑顔には一片の曇りもない。

どこまで、理想的な女性なのだろうとニコラスは思う。

もう、彼女から片時も離れたくないと思うようになってしまった。

それからの数日間、ニコラスは堕落の路を辿った。

エヴァに会いたいがために、仮病を使ってまで門番の仕事を早く終わらせるようになった。

しかしその方法も何回は使えないため、ついには仕事を辞めてしまったのだ。

ニコラスは毎日、起きている間はエヴァを抱きしめ彼女に似合う服の色を考える。

そして夜になると眠りにつき、エヴァの夢を見る。

この日の晩もそうだった。