誠くんはリョウちゃんたちを
呼び止めようとしたけど
私はそれを止めた。
もう傷つきたくなかった…。
これが1番の理由だと思う。
自分でも弱かったと思う。
でもそうするしかできなくて…。
涙を堪えて笑顔で誠くんに
「大丈夫だから!!」と言った。
精一杯の笑顔を作って…。。
『なんでそんな無理するの?』
「え……?」
誠くんのその一言で
私の顔から“作った笑顔”
が消えた。
『唯は無理しすぎだと思う。
誰かにもっと頼ればいい。
俺とか美優とか…おるよ?』
誠くんはそのまま続けた。
『今日くらい泣け!!!
泣いて忘れろ!!』
「誠くん…。」
『あんなやつ、
唯にはもったいないよ。』
優しい声で、笑顔で
そう言ってくれた。
誠くんの言葉をかみ締めたら
涙が止まらなかった。
リョウちゃんに
ひどい事を言われて
悲しかったからじゃない。
誠くんの優しさが
心に染みたから…。
