私はまたトボトボと教室への道を歩み出す。

「亜弥ーっ!!蒼空くんとの大丈夫だった?」

アイツは゛くん付け゛をするほどの存在じゃない。

なんて言ってやりたい気分。

必死になって飲み込んだ言葉。

微笑んで「何でもないよ」なんて言ってみる。

最近は私も短気が直ったのかもしれない。

いや‥イライラしてる時点でアウトなのか。

とても憂鬱な国語の時間。

そして隣には強敵の一ノ瀬 蒼空。

そう。

さっき気づいた。

実は席が隣なことに。

席替えは一切しないというこの学校。

私は憂鬱な1年を過ごすのだろうか。

「あー。今日の課題だ。短編小説を書いてもらう。」

私は文才が無い。

そう、この課題は私にとっては最悪だ。

「提出日は来週の月曜日だ。」

そんなことも知らない先生は更に最悪な言葉を叩きつけるように吐く。

「覚えてろ‥」

なんて呟く。

「センセー。終わったんですけど。」

隣の一ノ瀬がなんともだるそうな声で言う。


なんだコイツは。

本当に人間か。

とても面倒な課題を一瞬で終わらせるなんて。

これが゛才能゛なのだろう。