「おい‥今更気づいたのかよ。こっちこい。」

「はい‥。」


仕方なく私は一ノ瀬について行った。

案の定彼の口からは彼らしい言葉が吐かれた。

「お前俺の気を引かせたいからやったんだろ?」だとか、「付き合ってほしいのか?」だとか‥。

普通の女子ならメロメロなはずだ。

あの財産とこのルックスじゃモテないはずがない。

ただし、この男は誠実さがかけている。

「あの、別にそういうんじゃないんで‥」

「言い訳しても無駄なんだけど?俺に構ってほしいんでしょ?」

SHI☆TSU☆KO☆I

この瞬間私の営業スマイルは解かれた。

睨みをきかせて「本当に無理なんで。」という台詞を吐き捨てその場を去った。

やっぱり私は女っぽくないんだと実感する。

まずか弱い女子が連れ去られていたら仲良くなくとも、男子が助けてくれるのであろう。

私は実際そういう光景を見る。

だが、私は違う。
男勝りで怖い。

これが世間からの私への評価だ。

しょうがないとは思いながら、あの日から自分を変えることができない。

そう。祖父を失ったあの日から‥。


「大切になりすぎて、失うのが怖い。」


よくあるトラウマだろう。

だけどなかなかこれが克服できないもので‥。

私だって本当は素直に生きていたいとそう思った瞬間に涙が溢れる。


私が変わらなきゃいけないのか。

それとも、誰かが変えてくれるというのだろうか。