「素直になれ。」
「はい…。」

ほんと、この人には適わない。

「んじゃ、これから高倉んちに行くか。」
「えぇええ!?」

私はファミレスにも関わらず、大きな声を出してしまった。
その様子に、その人は眉をひそめるが、立ち上がり、私を引っ張り出す。

「行くぞ。」
「はいぃ…。」



ファミレスから出て、ふとその人の足が止まった。
私はその人の背中にぶつかった。

「わっぷ。急に止まらないでよー。」
「おい、あれ、高倉か?」
「へ?」

私はその人の背中から顔を出し、指差す方を見る。
道路を挟んだ向こうに総八の姿があった。
壁に寄りかかり、携帯をいじっている。

「家に行く手間省けたな。行くぞ。」
「う、うん…。」

私はその人に促され、総八のところへ向かおうと、足を向けた。
しかし、その足はそこで止まることになる。