総八を見送った私は、ふぅ…と息を吐いた。



来いと言われ、行ったらすぐさま連れてこられたゆめが丘。



この先に誰がいるのか…多分あの人だろうという予想はある。


もう一度息を吐き、よしっと気合いをいれ、歩き出した。




少し歩くと、丘の頂上に着く。
丘と言っても高さは高く、街を一望出来る。また夕焼け時なので、街を赤く染めている。何か一人で考え事をしたいときは必ず訪れる場所だった。



「…にしてもいないじゃんか…。」



奥に行けば会える!と総八が言っていたが来ても誰もいない。



「やっぱり寺内くんじゃないか…。」



寺内創くん…私が今日総八に頼んで、チョコを渡してもらった人だ。
自分ではあげる勇気が出ず、総八に頼んだのだが、いかんせんいつまでたっても返事がない。
まぁ…総八に頼んだ私が悪かったのだと思うが…。



私は空を見上げる。もう少しで陽が暮れる。
総八には悪いのだが、帰るとしよう。


私は来た方向へと足を向けた。