あの後、私は家に帰ってきていた。
あの人も、一緒に。
ちなみに龍夜は居なくなっていた。

「…お前は泣かないのか?」
「え、な、何が?」

家のソファーにその人が座り、お茶を入れ持ってきたところに聞かれた。
お茶をこぼしそうになるくらいドキッとした。

「…高倉の件だよ。」
「あぁ…。」

さっきの里香と総八の場面を思い出す。
何故だか涙は出てこない。
本当に何でかわからないが。

「悲しいよりも…何か…安心…?みたいな?」
「安心って何だよ。」

その人は苦笑いを浮かべる。

「だってさ、里香が今日嬉しそうにチョコ渡すんだーって私に教えてくれてたの。それが成功したんだからさ。んーだから安心?みたいな?」
「でもなぁー…それだったらお前は不幸じゃねぇかよ。」

私が入れたお茶をすすりながらその人は、言う。