「何で、早く言わないんだよ!」
「だって、あんたが手引っ張ってたんでしょ!?しかも、千鶴一人じゃなかったし…。」
「え、一人じゃ……ど、どゆこと…?」

千鶴一人じゃなかった…って…

「女の子だよね?一緒に居たの…。」

ショックからか、驚き過ぎか、声がかすれる。
ってか女の子じゃないと困る!
しかし、俺の希望なんて完全無視な里香。

「男の人だったわよ…でもあれって…。」

『男の人だったわよ。』その言葉だけが頭に鳴り響く。
いやいやいやいやいやいや!待て待て待て待て待て!

「やっぱりお前たちに付き合ってる場合じゃなかった!俺は行く!」
「今の私の話聞いて…ないわね。…まぁいいわ。いってらっしゃい。」

ヒラヒラと手を降る里香。
見送る側が見送られているとは…何か変な気分になりながら、里香が千鶴を見たという駅まで走り出した。