「あー……これもう持てないですね……」
「うーん……」
一度穴が開いたビニールは更に穴が大きくなり……もう使い物にならない状態に。
「もう家近いから大丈夫だよ。
ありがとう」
「でも……」
男の子が申し訳なさそうな表情であたしを見た。
「……あ、じゃあお詫びに俺がこれ運びますよ!」
「え、でも……」
ありがたいけど、さすがに怪我をしてる子に持ってもらうわけには……
すると、男の子はあたしの気持ちが分かったのか、にっこりと微笑んだ。
「大丈夫です。
左腕は折れてるけど、右は平気なんで」
あ……やっぱり折れてるんだ……。
「でも、どうやって運ぼうかな……。
あ、俺のカバンの中に入れてってもいいですか?」
「え……本当にいいの?」
「はい。
元はと言えば俺の責任ですから」
な……なんていい子なんだろう……。
あたしはちょっと感激した。

