《栞奈?》 「……ごめん」 《……どうした?》 「今は……話したくない」 会いたいって思ってたはずなのに。 そばにいてほしかったはずなのに。 今日は……今だけは、会いたくなかった。 《栞奈、お前今どこに……》 「……ほっといて」 それだけ言って……電話を切った。 今は……そっとしておいてほしかった。 大和に会ったら、きっと甘えてしまうから。 そしたら、あたしはいつまで経っても成長できない気がするから……。 ……あたしはケータイをバッグにしまって頭上の夜空を見上げた。