「萌ちゃんの行きそうな場所とか……他にありませんか?」

「行きそうな場所は全部探しました……」


……そうだよね。

もうとっくに探してるよね……。


他にどこか……萌ちゃんの行きそうな……



……その時。

あたしは運動会の時に言ってた萌ちゃんの言葉を思い出した。


『……パパはお仕事が忙しくて行けないから……』


あの時の萌ちゃんの寂しそうな顔……。


「……星の見える丘公園……」

「え……?
先生、今何て……」

「心当たり、あるんですか?」


あたしが聞くと、萌ちゃんのお父さんは少し驚きながらゆっくり頷いた。


「あそこは……妻が亡くなる前に萌と三人で行った場所なんです」


お母さんが亡くなる前……。


「でも、家からは子供の足だと少し遠いですし……」

「けど、もうそこしか思いつきません。
……今日が奥さんの命日なら、尚更」