体育館に残ってる奴が気になった俺は、仕事を一段落終えてから体育館に様子を見にきた。

体育館に近づくと……確かにボールの音が聞こえた。


こっそり入り口から覗いてみると……


「……飛田?」


体育館の中にいたのは部長の飛田だった。

飛田は一生懸命一人で練習していた。


「………………」


俺は静かに体育館の中へと入っていった。

飛田は俺に気づくことなく、真剣な顔でゴールリングを見つめ……そのまま綺麗にシュートを決めた。


リングから落ちてきたボールはコロコロと転がって、壁に当たって止まった。


俺は静かに近寄り、ボールを拾い上げた。


すると、飛田は驚いたように俺を見た。


「先生……?」


……久々だな。

ボール触ったのなんて……。

俺は軽くドリブルをしてゴールに向かって走り、跳んでゴールにボールを入れた。


「おぉっ……俺もまだまだいけるかも……」


まだ通用するな……これなら。


「あの……先生?」

「お前さ……本当、俺にそっくりだな」

「え?」


飛田は意味が分からなさそうに首を傾げた。