青空バスケ―3rd―


蓮の視線に気がついた栞奈がこっちに近寄ってきた。


「……蓮ちゃん」

「何で……」

「……あたしが呼んだんだよ」


栞奈は真剣な目で蓮を見た。


「梨子ちゃんは……蛯原さんとちゃんと話をしてきたみたいだよ」

「え………」


蓮が驚きながら栞奈を見た。


「梨子ちゃんは……蓮ちゃんとしっかり向き合うって、決めたみたい」


……蓮は黙ったまま向こうの方にいる彼女を見つめた。


「……蓮ちゃんは高校生の頃に戻りたいって言ってたけど……。
あの頃に戻ったら……梨子ちゃんには会えないんだよ」

「……………」

「大人になったらいろいろ嫌なことだってあるよ。
辛いことも苦しいことも……逃げ出したくなる時だってあるけど……。
……でも、蓮ちゃんは前に進んでいかなきゃいけないんだよ」


栞奈……。


「嫌なこともいっぱいあるだろうけど……これからいいことだって絶対あるから。
高校生の時には経験できなかったような幸せなことがきっと起こるから……。
だから……あの手だけは絶対離しちゃダメだよ……」


栞奈はそう言いながら向こうにいる汐谷さんを見た。

蓮が……一度は手放そうとしたもの。

だけど、それは……簡単に捨て切れるものではない……大切なもの。