「来てくれたんだ……」
梨子ちゃんの姿を見て、あたしは安心したように笑った。
「……マユミと話してきたの」
「え………」
「最初はちょっと怖かったけど……でも、話したら分かってくれた……と思う」
梨子ちゃん……。
「ちゃんと自分の意思を持ちなさい……って初めて会った時みたいに怒られちゃった」
……やっぱり、蛯原さんは意外といい人だったんだね。
蓮ちゃんのことはちょっとやりすぎだと思うけど……
でも、根っこは……いい人。
「蓮ちゃんなら……あそこにいるよ」
あたしはコートで大和と対峙してる蓮ちゃんに視線を向けた。
梨子ちゃんもつられるようにしてコートの方を見る。
「……楽しそうだね」
「うん……そうだね」
「あんな蓮君……初めて見た」
そっか、バスケしてる蓮ちゃんを見るのは初めてか……。
「何か……ちょっと栞奈ちゃんが羨ましいかも」
「え?」
あたしが聞き返すと、梨子ちゃんはふわりと柔らかに笑った。
「あたしもあんな蓮君をずっと見てたかったなぁって……ちょっと思った」
「……見れるよ」
「え?」
きっと……あたし達が知らない蓮ちゃんの顔を、梨子ちゃんはこれからどんどん発見していけると思うから。
これから先……何年かかっても。

