「でも、マユミだって初めは本当にただ蓮君が好きだっただけなの。
……それがちょっと変な方向に行っちゃっただけで……」
「梨子ちゃん……?」
「マユミ……蓮君にフラれて、かなり落ち込んで……。
それで、あんな風になっちゃって……。
だけどね、マユミだって優しい部分があるんだよ。
あたしのこと……助けてくれたし」
梨子ちゃんは……蛯原さんのことを大切に想ってる。
必死で蛯原さんを庇おうとしてる……。
「……ね、聞いてもいいかな?
蓮ちゃんと何があったのか……」
あたしがそう聞くと……梨子ちゃんはゆっくり小さく頷いた。
「……あたしと蓮君は同じ課で、入社した当初からよく話したりとかしてたの。
最初は仲の良い同期ってだけだったけど……いつからかその気持ちが変化して、気づいたら好きになってたんだ」
社内恋愛……。
ちょっと憧れるかも……。
「だけど………」
……梨子ちゃんの表情が暗くなった。

