青空バスケ―3rd―


俺は急いで玄関に行ってドアを開ける。


「……助かった」


栞奈の顔を見て安堵する。


「そんなに大変なの……?」

「話しかけても返事が来ない……」


俺には手が負えない……。

とりあえず、栞奈をリビングに通した。


まだテーブルに顔を伏せている蓮……。


「蓮ちゃん」


栞奈が声をかけると、蓮はゆっくり顔を上げて振り向いた。


「岬……?
何で………」

「俺が呼んだ」

「そっか……じゃあ、俺は帰……」

「帰らなくていい。
お前のために呼んだんだから」


俺がそう言うと、蓮はソファの上に頭を載せるようにして天井を見た。

そして……ポツリと静かに呟いた。


「何か……もう疲れた……」


俺達が蓮の弱音を聞くのは……その時が初めてに近かったかもしれない。