「先生……?」
飛田が心配そうに俺に声をかけた。
……俺はゆっくりと下に転がっているボールに視線を移した。
小学生の時にバスケを始めて、初めて買って貰ったボール。
ずっと俺のそばにあったもの。
俺が手放したくなかったもの。
ずっと……これからもそばにあると信じきっていた……幼い俺。
それは、ボロくなればいくらでも買い替えられるボールなんかじゃなくて……この世にたった一人しかいない、俺の大切な人。
いつも笑顔で……俺のそばにいてくれた。
何があっても、俺の味方でいていくれた。
辛いことがあれば一緒に涙を流してくれたし……
嬉しいことがあれば一緒に喜んでくれた。
何かが足りない……。
それはきっと……バスケ馬鹿だった俺の隣にいつもいてくれた……
……栞奈。

