For 10 years

でも……


“友達の印”って言われて、すっげぇ嬉しかったんだ。


蒼太に俺の存在を認められた気がして。


絢華ちゃんとの関係が、いつまでも今のままでいいなんて思ってなかった。


これが前へ進むきっかけになるような気がしたんだ。



「そうなんだ。でもね、蒼太。大人と子供は違うのよ」


「どうして?」


「絢華ちゃん、俺と蒼太の間には友情が成立してるからさ、このままでいいよ」


「隼人さん、ごめんね」



絢華ちゃんは申し訳なさそうに謝ってくるけれど、俺にとってはほんとに嬉しいことだったんだ。



「ママー、ゆうか、おままごとしたい」


「今日は優華のお誕生日だから、今からママ頑張ってお料理作らなきゃならないし、少しだけね」


「うん!」



俺と蒼太が車のおもちゃで遊んでいる横で、絢華ちゃんと優華はおままごとを始めた。


でも……


ふと絢華ちゃんの方を見たら……



「絢華ちゃん?」


「えっ」



絢華ちゃんの方へゆっくりと歩いていく。



「どうした?」



そう言って、無意識に俺の指が絢華ちゃんの頬に触れる。