For 10 years

「冷たくて気持ちいい。隼人さんも浸けてみて」



ようやく追い付いた俺に、リナちゃんが振り返りながらそう言う。


リナちゃんは履いていたミュールを脱いで、海水に足を浸けていた。


それを見て、俺もスニーカーと靴下を脱いだ。


そんな俺を見ながら、リナちゃんが嬉しそうに口を開く。



「あたしね、海でデートするのが一番好きなんだ」



眩しいくらいの笑顔を見せながらそう言ったリナちゃんに、心臓がトクンと音をたてる。


ああ、俺はいつの間に、リナちゃんのことをこんなに好きになっていたんだろう。


嬉しそうに海水を手で掬っているリナちゃんを見ながら、今度は俺が口を開く。



「知ってるよ」


「えっ」


「リナちゃんが、デートで一番行きたい場所が海だってこと。……だから今日、ここへ連れてきたんだ」