それは本当に今更すぎる不安だ。
断るならずっと前にしていた、けれど
寿命を吸い取られてしまうのは困る。
それに、山で封印していた霊全てを成仏させれば
霊を見えなくしてやる、と縁は約束した。
そのためにも頑張らねばならない。
「じゃ、いくか」
美波は大きく一歩踏み出した。
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霊のいる駅に到着した。
田舎なのに加えこの時間帯となると、利用者は1人もいなかった。
「なあ、これホームの中に入るのに切符買わないと駄目だよな」
縁に尋ねる。
「もちろんじゃ」
「金がもったいなくないか?ただ入るだけなのに」
「仕方ないことじゃ。それが現代の規則なのじゃろう?」
「うーん、けどなぁ」
たかが数十円のことなのだけれども、どうしても気になる。
自分は意外とケチだったのか、と生まれて初めて気づいた。
「あ、それとも駅員に、落し物をしたなんて言って入れさせてもらうのはどうかのう」
