幽霊会談



それは本当に今更すぎる不安だ。

断るならずっと前にしていた、けれど

寿命を吸い取られてしまうのは困る。

それに、山で封印していた霊全てを成仏させれば

霊を見えなくしてやる、と縁は約束した。


そのためにも頑張らねばならない。

「じゃ、いくか」

美波は大きく一歩踏み出した。



*******


霊のいる駅に到着した。


田舎なのに加えこの時間帯となると、利用者は1人もいなかった。


「なあ、これホームの中に入るのに切符買わないと駄目だよな」

縁に尋ねる。

「もちろんじゃ」

「金がもったいなくないか?ただ入るだけなのに」

「仕方ないことじゃ。それが現代の規則なのじゃろう?」

「うーん、けどなぁ」

たかが数十円のことなのだけれども、どうしても気になる。

自分は意外とケチだったのか、と生まれて初めて気づいた。


「あ、それとも駅員に、落し物をしたなんて言って入れさせてもらうのはどうかのう」