起こして見つかってしまえば、何を言われるかわかったものではない。
息を殺して歩いていき、霊なのだからと関係無く走り抜ける縁をギロリと睨みつけながら
どうにか玄関まで到達する。
スニーカーを履き、引き戸を開け外に出る。
そして静かに戸を閉めたところで、
やっと一安心することが出来た。
「…良かった。起きなかった」
胸をなでおろしたところを、縁に釘をさされる。
「お主分かっておるのか?これからさらに大きな苦行が待ち受けておるのじゃぞ」
それもそうだ。
幽霊を成仏させる前にこんなことに気疲れを感じてしまっている。
────本当に自分に成仏させるだなんてできるのか、
なんて今更ながら重苦しい不安を感じる。
