────翌朝。
「…きろ、起きろ」
縁に体を揺すられて、美波は目を覚ました。
枕元にある目覚まし時計に目をやると、時刻はまだ4時半過ぎ。
「…こんな時間に起こすな」
夏休み中でしかも帰宅部の美波にとっては、こんな時間に起きるなどということは滅多に無かった。
再び目を閉じるも、縁に
「何言っておる。霊を成仏するのに周りに人がいれば無理じゃろう。まだ人気の少ない朝にやるのがセオリーじゃ」
と言われ飛び起きる。
「そういうのは早く言えって」
確かに縁の言うとおり、霊が見えない人から見たら変人とみなされてしまう。
「あと、カタカナ言葉使えるんだな」
「当たり前じゃ。神は常に現代に生きるものよ」
慌てて出かける支度をし、そろりそろりと足音を立てぬように1階へ下りる。
「林蔵さん起こさないようにしないとな」
