「というかお前物を触ることできたのか」
昨日はドアを開けずに通り抜けて部屋の中に入り美波を驚かせていたというのに。
「そんなの私の力があれば容易いことよ。それより、早速あした決行じゃからな。私は寝るから起こすでない」
「…はぁ」
力無く美波は頷く。
こんなめんどくさいことはさっさと終わらせ、霊に関わらず普通の生活を送りたい。
とりあえず美波も今日は寝ることにする。
灯りを消しベッドに潜りこんだところで、ふと気づく。
「ハリセンで叩くなら、ある程度近づかないと無理だろ?危害とか加えてこないのか」
縁に問うが、聞こえてくるのはすーすーという寝息ばかり。
「おい。元は狐のくせに狸寝入りすんな」
「違う。こっちが元の姿と言うとろーに」
「起きてんじゃん」
