「あやつ、手首に包帯を巻いておる。やっと一体目見つけたな」
縁と同じ方向に目を向けると、
確かにそこに霊はいた。
狐と会った日、電車に乗る前にみかけた
あの線路の上にいるセーラー服の女性だ。
前回は気づかななかったが確かに、包帯を巻いている。
「気づかないフリをしろ」
縁にそう注意され、小声で言い返す。
「そのくらいわかってるって」
逃げられたら元も子もない。
「あいつ、前にもここで見たけど…でもどうやって封印させるんだ?」
「封印じゃなくて、いっそ成仏でいい。
説明は家に帰ってからする。前も見たなら、きっとここから動かないじゃろ」
そこでちょうど電車が来て、女性の姿はかきけされた。
