ただ、その思いはとなりの席の子には言わず、

「その通りだけど、イタリアっていう国があるのはわかるよ」

とだけ言った。

というのも、美波の父はイタリア人で、美波はハーフだったからだ。

イタリアという国がなければ父も自分も何だというのだ────。