「まあ何もしなければ、その内息絶えるじゃろう」
さらりと言ってのける狐。
「…ってことは」
「私に協力するしかない。…そうじゃ、全て成仏させたら、霊が見える力も消えるぞ」
「はあー」
盛大にため息をつき、
がっくりと肩を落とす。
「わかった…わかったよ」
自分の命を守るため、そして霊が見えるという能力を消すには、この狐に力を貸さなければならないのだった。
「よし、これから私はお前と共に行動して行くからな。これから先の話は長くなるから、いったんお前の家に帰るとするか」
「え、お前ついてくるの」
「阿呆。当たり前じゃ、協力してくれるのじゃろう?」
獣と生活とかやだな…そう呟きながらも、
美波は狐を引き連れて坂を下って行くのだった。
