「ああ、わかった…じゃあな」
立ち上がり、
笑顔で坂を下って行く。
「待てぇーい!何自然に立ち去ろうとしておるのじゃ!」
背中に消えたはずの狐は、再び美波の前に現れていた。
さすが自称神はそんなことも出来るらしい。
「聞くだけって言ったろ。それに、霊と関わりたくないし」
「そんなこと言っておる場合ではないぞ。お前の命が危険なのじゃ」
狐の意味深長な言葉に、思わず尋ねてしまう。
「どんなだよ?」
「気付いておらんのか。お前は霊を見る度、生気が吸いとられている」
「本当か?手伝って欲しいからそんな嘘ついてるんじゃないよな?」
「少しは私を信じろ。誠じゃ。霊はこの世と関わるために生気を吸いとっていく。何かしら体に異変が起こると思うが」
「あ」
そこまで言われて気づいた。
霊を見る度に感じる、あの冷気…
まさにそれがこのことだったのだ。
「おい、俺はどうなるんだ!?」
