「…はあ?」
狐は先ほどとうってかわって
偉そうにふんぞりかえっている。
確かに狐といったら
美狐神…お稲荷さんを連想するかもしれない。
けれど、この山の神とは一体どういうところなのだろう。
それほど名の知れてない山だと思うのだが。
「まあ、それでの…お前に一つ頼みがあるのじゃが」
なぜかめんどくさい方向に話が展開してきている。
「…聞くだけなら」
本当に聞くだけで済ませたい。
「ちょいとお前を助けた時に力を使いすぎて…その分私は弱ってしまった。すると山の中で一時的に封印していた霊たちが好機を逃さずどこかへ行ってしまったのじゃ」
「うんうん、それで」
美波は深く頷く。
「おお…意外に真剣に聞いてくれとるな。いい童じゃ」
聞くだけなのだ。
「で、そいつらを元通り封印…いやいっそ成仏させよう、今の私では無理…という訳でお前に少し協力してもらいたい」
