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部屋にけたたましく鳴り響くベルの音で、
目が覚めた。

カーテンの隙間から、
一筋の光が薄暗い部屋の中に覗いている。

近くにあった目覚まし時計を叩いてベルを止め、
体を起こす。

寝巻きが汗でぐっしょりと濡れていた。
シーツにも染みができている。

きっと、嫌な夢でも見たのだろう。

美波は16歳───高校1年生になっていた。

なんとなく、悪夢をみた理由がわかる気がする。
今日が両親の命日、だからだ。


もしかしたら、事故の当時の夢でも見ていたのかもしれない。

衝撃が強すぎて、あまり覚えてはいないのだが…。

カーテンを勢いよく開ける。
シャッと小気味良い音がした。


目の前に広がる青い空には雲一つない。
それがなんとなく皮肉な気がする。