「嘘でしょ!?ちょっと貸して」
「おい危ないっ」
さらに慌てた母は、横から手を伸ばして
父から奪うようにハンドルを奪うようにして握った。
「ほんとだ…」
どんなに回そうとしても、
ガコガコと音が鳴って少し揺れるだけ。
「ブレーキはっ」
「それが…こっちも何故か動かない」
母も父も美波も、顔が青色に変わった。
今、車は緩やかなカーブを描いた山道を上っている。
ガードレールの下は、崖。
「このままじゃ、曲がり切れずに」
父がポツリと呟く。
「もういやっ!どうしてこんなことに」
母は取り乱し、
顔をぐちゃぐちゃにして
泣いていた。
いや、美波と父が冷静なのがおかしいのかもしれない。
ふと美波がバックミラーを見ると、
「!!??」
