・・・

でも、いつも付けていた秀の

匂いじゃないことに気付き、

我に返った私は、その人を突き飛ばした。

・・・

「違う・・・

貴方は秀じゃなかった・・・

ごめ・・・なさ・・・」

・・・


そう、

ただの幻想でしかなかった。


・・・

私は顔を覆い、

また泣き始めた。


・・・

秀はどこにもいない・・・


もう、どこにも・・・


・・・

フワッ・・・

突き飛ばしたはずのその人に、

私はまた抱きしめられていた。